■お墓は墓石だけではない
一般的に思うお墓は石材で建てられた墓石でしょう。
しかし、最近では墓石だけでなく、納骨堂や永代供養などがあります。
その中でも今注目されているのが、樹木葬です。
九州のように山や海などの大自然に恵まれた土地に住む人は、自然を愛する人が多いです。
また、最近のエコ意識の高まりから、自然回帰を考える人も多くなりました。
そうしたことから、自分が亡くなった後は、自然に還りたいと願う人が九州に多いのです。
海や山に散骨したいと故人が願っても、残された遺族は手を合わせる場所や墓標がないことは寂しく思います。
このような考えを持つ人が理想とするのが樹木葬です。
■樹木葬とは
樹木葬の墓標は墓石ではなく樹木です。
比較的新しいタイプのお墓で近年人気が高くなり、全国の霊園や寺院にも広まってきています。
そのため、形態も各霊園や寺院によって違いがあります。
墓石の代わりになる樹木をシンボルツリーと呼びます。
各区画に1本ずつシンボルツリーを植えていくタイプや、すでに墓地の公園内や山里に植えられている樹木を墓標としているタイプなどさまざまです。
そして、シンボルツリーの根元や周りに遺骨を納骨します。
納骨方法は一般的なお墓のように各家で個別に埋葬するタイプや他人と一緒に納骨する合祀タイプなどがあります。
納骨するタイミングも、すでに植えてあるシンボルツリーに納骨する、納骨する際に植えるなどあります。
埋葬方法は遺骨をそのまま何も包まずに埋葬する、または自然に還る素材で包む、骨壺に入れるなどいろいろなタイプがあります。
樹木葬は霊園や寺院によっていろいろな内容がありますので、契約するときには確認が必要です。
樹木葬は日本だけでなく、海外でも樹木葬に関心のある人が増えてきており、これからも広まっていくものと考えられます。
■どのような人が樹木葬を選んでいるのか
樹木葬は永代供養が多く、個別に埋葬され一代限りの供養になります。
そのため、いろいろな事情からお墓の継承が困難な人が多く検討しています。
たとえば、子どものいない夫婦や子どもがいても負担をかけたくない場合です。
また最近では結婚をせずに独身の人も多くなりましたので、独身者にも人気のようです。
墓石を建て、維持管理するには費用がかかります。
樹木葬は墓石を建てるよりも低く費用を抑えることができるので、費用をかけたくない人には魅力的です。
■注意したいこと
まだあまり知られておらず歴史も新しい樹木葬は、選ぶ際には注意が必要です。
樹木は墓石と違い自然のものなので、長い年月の間には成長して最初のイメージと違ってくる場合もあります。
樹木の変化を故人が亡くなった月日を感じることができ、故人を偲びたい遺族には良いものです。
また、生きているので枯れてしまうこと、台風などの自然災害で折れてしまう場合もあります。
樹木葬の霊園は交通のアクセスが良い場所もありますが、そうでない場所もあります。
里山の近くの霊園などは、虫や小動物が多いことから、お供え物を置くことができない場合もありますし、消防の関係で線香やロウソクが禁止のこともあります。
このほかにも、埋葬方法によっては後で遺骨を別の場所に移したいとしてもできない場合があります。
歴史が浅く馴染みのない樹木葬なので、事前に親族と話し合い理解をしてもらう必要があります。
そうでないと、後でトラブルとなる心配があります。樹木葬は墓標にこだわりがなく、自然を理解している人であればシンボルツリーが枯れたとしても、それが自然の成り行きとして受け入れることができるでしょう。
そのような考えのある人は、樹木葬も一つの選択肢として考えることをおすすめします。
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